美しい自然と豊かな山林に囲まれる町
こんにちは！ たたライターです。
今回はたたらの里がある島根県雲南市吉田町の町をご紹介します！
現在の吉田町は人口1500人ほどの町ですが、かつてたたら製鉄が盛んだった時代には1万人～1万5千人が住んでいたと言われています。「たたら」に必要不可欠な豊かな山林と川に恵まれた立地で、夏には濃い緑と澄んだ青空、冬は静かな雪景色と、四季折々の美しい風景が味わえる町です。
風光明媚な通りにオープンした「鐵泉堂」
田部家がある本町通りは石畳が敷かれ、城下町といった風情が残っています。落ち着いた雰囲気で絵になりますね。
江戸時代の情緒が感じられる本町通り
田部家土蔵群を道から眺めていたところ、通りの向かい側に販売ショップ「奥出雲前綿屋鐵泉堂」を発見。たたら操業で生産された玉鋼で製造したゴルフパター、包丁などの製品のほか、たたら復活操業で取り出された鉧（ケラ）も展示されています。
ゴルフが上達しそうな「TESSENパター」
奥出雲前綿屋鐵泉堂のロゴマークには「綿」の紋が使われています。なぜ製鉄業を生業としていたのに「綿」なのでしょうか。お店の方に聞いたところ、これは鉄の運送方法が関係しているとのこと。たたら製鉄が盛んに行われていた江戸時代、生産された鉄の大部分は北前船で各地へ運ばれていました。その時鉄を囲うように積まれていたのが綿だったそうで、傍から見ると綿を運んでいる船に見えていたようです。それにより松江城のお殿様から「綿屋」という屋号が与えられました。鐵泉堂というお店の名前も鉄を運んでいた「鐵泉丸」という船から名付けられています。
雲南市吉田町吉田2557-1
［営業時間］10：00～17：00 ※月・火曜定休
たたらの歴史と仕組みが分かる博物館
さらに石畳を山の方へ進むと、明治に建てられた民家を整備した「鉄の歴史博物館」が見えてきます。
開業医の居宅だった古民家を改築した博物館
たたら製鉄で使われていた道具、高殿や炉の仕組みが分かる展示のほか、昭和に撮影された記録映像「和鋼風土記」の上映もあります。大正時代に一度消えてしまった「たたら製鉄」を復元した様子を伝えるもので、たたらを知るための貴重な映像です。
雲南市吉田町吉田2533
［営業時間］9：00～17：00（入館16：00まで） ※月曜定休、祝日の場合は翌日
たたらがリアルに感じられる重要有形民俗文化財
「鉄の歴史博物館」で歴史や仕組みを見た後に訪れたのが、国の重要有形民俗文化財「菅谷たたら山内」。この場所にある高殿は当時の姿で現存する国内唯一のものだそうです。
国の重要有形民俗文化財「菅谷たたら山内」
中心に土で作られた炉が据えられており、左右に風を送る鞴（ふいご）の土台が残っています。板を踏むことで炉に風を送る装置で、アニメ映画でもたたら場で女性たちが踏んでいました。周囲にも砂鉄置き場、炭置き場などがあり、往年のたたら製鉄を肌で感じることができます。
雲南市吉田町吉田4210-2
［営業時間］9：00～17：00（入館16：00まで） ※月曜定休、祝日の場合は翌日
近くを流れる川には国の特別記念物オオサンショウウオも生息しています。川をのぞくと複数のオオサンショウウオの姿が！ ゆったりと動く姿に癒やされますね。皆さんも運が良ければ出会えるかもしれません。
来てよし、働いてよし、住んでよしの町へ
たたら製鉄が廃れた後、吉田町は人も減り、かつての賑わいがなくなっていると町の人も話していました。確かに吉田町は観光客で賑わっている観光地ではないかもしれません。一方で、豊かな自然、風光明媚な町並み、たたらの歴史と魅力も沢山ある町です。
吉田町の町並み
たたらの里では、家族で遊べるスポット作りや観光林、古民家の宿など、まずは吉田町を訪れてもらうべく様々なプロジェクトが進んでいるそうです。特に森林をそのまま活かしたアスレチックは注目です！ 日本の文化と歴史、新たに誕生するスポットが両方楽しめる吉田町。都会とは一味違う日常を体験しに、ぜひ一度訪れてみませんか？
